3Dプリントでカメラ用三脚穴を作る

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概要

3Dプリントでカメラ用品を作るとき,一番問題になるのが三脚穴の形成である.とはいえ,頻繁に着脱を繰り返すネジ山を直接3Dプリントで形成するのは,精度の低さ・耐久性の面からいってやや不安が残る. しかし,大ネジ(3/8 UNC)のネジ穴を形成し,そこに 三脚のネジ変換アダプタを挿入すると,金属製のネジ穴を比較的簡単に得ることができる(図).

本稿では,上記方法による三脚ネジ穴の形成の方法の簡単な手順と,制作例を掲載する.なお,本稿は誤りを含む可能性があり,実際に応用したことによって起こる不具合には関知しない.

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注意点

本稿の方法は,ナイロン粉体焼結(DMM.com 3Dプリント)を前提としている.他の材料や出力サービスによっては,本稿の記述をそのまま使えないこともあるので,注意されたい.

各種寸法

エツミE-6663の寸法

エツミE-6663の各部寸法は,図のとおりである.実際には半ねじであるが,全ねじとしてモデリングしても,組み立てに特段の問題はない.

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めねじ穴のモデリング

めねじ穴は UNC 3/8 の規格にしたがってモデリングする. Unified Screw Threads and Tolerances (Inch) を用いて,モデリングが簡単になるように計算したものが以下の図である.この例では寸法公差のなかで許される最大の大きさでモデリングしてあるが,3Dプリントの特性上,データよりも 0.1–0.2 mm 太るので,これで概ね具合よくおさまる.

どうせ実売 300 円程度とたいして高価な部品でもないので,もし緩ければエポキシなどで接着してしまってもよいだろう.

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制作例

以下のような具合に仕上がる.ややきつめに出来上がってきたので,溝にコインをかませてねじ込んだ.

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なお,この部品はコンパクトデジタルカメラのレンズ直前にPEAKのペン型顕微鏡を固定するための治具である.

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