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(転載禁止/許可したものはそれとわかるように書きます)

多穴パンチを買った

概要

製本用の多穴パンチを買った(公式サイトAmazon アフィリエイトリヒトラブ パンチ プレゼン資料製本用 多穴 P1605).

主な目的は,次の2点.

  1. トレーシングペーパー,再生紙,ボンド紙など,好みの紙でノートを作る.
  2. 厚手の紙(157g/m2)に印刷したプレゼン資料を製本する.

利点として,

  1. ルーズリーフ用パンチと違って角穴なので,綴じたときにがたつきが起きにくい.
  2. トレーシングペーパーなどを綴じても安定している.
  3. ルーズリーフ規格の大型パンチと比較して安価である.
  4. とじ具に針金が通っており,折れにくい.

難点として,

  1. 綴じ具の入手性があまり良くない.ルーズリーフと混乱するので,店としてはあまり置きたくないのかもしれない.
  2. そもそも自作ノートをどれくらいの頻度で使うのかが不明.

以上を勘案して総合的に判断した結果(便利な言葉だ),購入することにした.綴じ具は間違えないように,通販で買えばよいのである. 

使用感

再生紙(オフィスによくあるざら紙)を綴じてみた.孔の精度は,カッターナイフのように鋭くとはいかないが,十分実用的な精度がある.

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続いて,トレーシングペーパー(トレペ)を綴じた結果.トレペは薄いので,付属する薄いプラスチックの表紙を付けた.さっそく打ち合わせで使ってみたが,重複するスケッチを描く必要がないのはとても良い.

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ほかにも,片対数方眼ノートなども作れそうだが,いまいち意味を見出せなかったので作らなかった.

プレゼン資料については,公式ページにあるとおりの使い勝手で,広告に偽りなしという具合なので,特段述べることはしない.厚紙(コクヨレーザープリンタ用セミ光沢紙,157g/m2)にも綺麗に四角い孔があく.

結論

買っておいてなんだが,個人で買うものかというと,やや悩ましい.どう考えてもインスタグラム映えするものではなく,ごつくて重い事務用品である.もちろん,会社や研究室で使うというのであれば,かなり自信をもって薦められる.

そのほか

  • とじ具には,写真に載せた透明のものだけでなく,黒もあるらしい.表紙の色調で使い分けるのがよさそうである.
  • トレペとかプレゼン資料のような,見た目最優先のものを綴じないのであれば,JIS規格ルーズリーフ用パンチのほうが後々安心の感はなきにしもあらず.
  • 折り返しのしやすさはとても魅力的.

KOKUYO フィンガープレゼンター ELA-FP1 の使用感など

ヨドバシのポイントが溜まったので,たまには変なものを買ってみようかと思って注文してみたら,予想外によくできており,これはもっと知られてもよいのではないか,という話.

レビュー

(2016年1月27日時点)数日使ってみての感想.壊れたとか,あるいは予想外の使い方があったなどした場合,このページに日付つきで追記する.

商品の概要

パワーポイントを用いてプレゼンをするときに,ページ送りを手元で行うための小さな機械である.ワイヤレスマウスを手元で握っているようなものだが,そのくせ下手なワイヤレスマウスよりも高価である.

とはいえ,ついつい緊張して手に持っているものを握り込んでしまいがちなプレゼンのときにも誤動作のしにくい設計(広いバンドが指の動きを拘束するので,一定以上の力で握り込めない)になっていること,指に固定されるため手から取り落とすことが原理的にないことを考えると,それだけで4000円の価値はあるといっていい.

誤動作回避を第一に考えるなら人差し指の第二関節・親指側側面に装着するのが確実だが,やや目立つので筆者の場合は中指に装着し,握り込む形とした.このあたりは客席からの距離と,好みにもよるところであろうと思われる.

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表記のない対応ソフトの判別方法

キーとしては PageUp(戻る)/PageDown(進む)/B(ブラックアウト) を送っているようである.この3キーが機能するソフトならOKなので,事前に確認されたい.執筆時点で Keynote (v6.6.1) + El Capitan では動作した.

その他特筆すべき点

  • 送り機能つきレーザーポインタなどとも共通するが,システムの設定でキーリピート開始までの時間を短くしていると,意図せず数ページまとめて送られてしまったりする.この手のトラブルが起こりがちな他人*1のPCでのプレゼンでは,極力アニメーションを使用しないよう心がけたい*2
  • 電波は5m程度は届くようである.
  • 筆者の環境(MacBook Pro Retina 15" 2012)では USB 3.0 との干渉は起こらなかったが,すべての環境で起こらないことを保証するものではない.

Amazon 商品リンク

アフィリエイトのないリンクはこちら

 

*1:特にパワーユーザのPCで起こりがちのような気がする

*2:業務で他人に貸す環境をカスタマイズの塊にしてはいけないという指摘はもっともである

3Dプリントでカメラ用三脚穴を作る

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概要

3Dプリントでカメラ用品を作るとき,一番問題になるのが三脚穴の形成である.とはいえ,頻繁に着脱を繰り返すネジ山を直接3Dプリントで形成するのは,精度の低さ・耐久性の面からいってやや不安が残る. しかし,大ネジ(3/8 UNC)のネジ穴を形成し,そこに 三脚のネジ変換アダプタを挿入すると,金属製のネジ穴を比較的簡単に得ることができる(図).

本稿では,上記方法による三脚ネジ穴の形成の方法の簡単な手順と,制作例を掲載する.なお,本稿は誤りを含む可能性があり,実際に応用したことによって起こる不具合には関知しない.

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注意点

本稿の方法は,ナイロン粉体焼結(DMM.com 3Dプリント)を前提としている.他の材料や出力サービスによっては,本稿の記述をそのまま使えないこともあるので,注意されたい.

各種寸法

エツミE-6663の寸法

エツミE-6663の各部寸法は,図のとおりである.実際には半ねじであるが,全ねじとしてモデリングしても,組み立てに特段の問題はない.

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めねじ穴のモデリング

めねじ穴は UNC 3/8 の規格にしたがってモデリングする. Unified Screw Threads and Tolerances (Inch) を用いて,モデリングが簡単になるように計算したものが以下の図である.この例では寸法公差のなかで許される最大の大きさでモデリングしてあるが,3Dプリントの特性上,データよりも 0.1–0.2 mm 太るので,これで概ね具合よくおさまる.

どうせ実売 300 円程度とたいして高価な部品でもないので,もし緩ければエポキシなどで接着してしまってもよいだろう.

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制作例

以下のような具合に仕上がる.ややきつめに出来上がってきたので,溝にコインをかませてねじ込んだ.

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なお,この部品はコンパクトデジタルカメラのレンズ直前にPEAKのペン型顕微鏡を固定するための治具である.

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無印良品の木製トレイとメモ

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作業をはじめると机の上が散らかりがちになってしまうが,無印良品のトレイ*1を導入してからだいぶ効率が上がった.タモ材の突板というのはあまり好みではないが,底面なのでどうせ見えないし,なによりこの手の製品にありがちな薄っぺらさが少なくてよい.

なお,この鉛筆はただの撮影用小物で,実際ニーモシネのメモブロック*2はボールペン・万年筆向きのように感じる.

ニーモシネだと,10枚/日で週に1冊(600円程度)消費するとして,月に2400円,年3万円近くになる.ちょっと高いなという気もするので,暇なときに適当な代替を探していきたい.

*1:木製 角型トレー 約幅27×奥行19×高さ2cm

*2:写っているのはNo.188. 全体的にロディアの後発品っぽさが否めないが,紙質や罫線濃度の安定性はさすが日本製といったところ

Lr を用いた CGI のカラーグレーディングのためのメモ

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概要

Adobe Lightroom を用いると,RAW を現像するように CGI のカラーグレーディングをすることが可能になる.最近では(恐らく Lr とエンジンを共有する)Lumetri が Premiere に搭載されたので,この手法の利点も少なくなりつつあるが,それでも Lr の軽快な非破壊操作とカタログ管理は魅力的である.本稿では,RAWの現像では普段考えない,CGI+Lr特有の問題についてメモしておく*1

各種注意点

ファイル形式

32bpc TIFF とする. Lr の優秀なトーンマッピングエンジンの恩恵を受けるためにも,出力はぜひ 32bpc TIFF にしておきたい.

テクスチャ

普段通りでよいが,そのままで見た目が綺麗だなと感じるものは,わずかに彩度を落としたほうが適切な結果を得やすい.特に,カメラのデフォルト設定で撮影されたJPEG素材はかなり色が強調されているので,注意しなければならない.

このワークフローにかぎっていえば,Lrに渡す前から綺麗に見えるレンダリング結果は,多くの場合どぎつい見た目になる.

レンダラの設定

この方法では,イラディアンスキャッシュのムラがしばしば致命的な見た目の悪さを引き起こす.存在感が失われるのを覚悟の上でスムージングを強くかけて誤魔化すか,さもなければブルートフォース系のレンダラをメインで用いる*2のがよい.

デフォルトの見た目

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32bpc TIFFAdobe Lightroom に渡すと, Lr デフォルトのトーンマッピングが適用される.ややコントラストが上がり,ハイライトのクリップがやわらかになっている.

HSLスライダ

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フォトリアルな風景のシーンでは,風景写真が得意とされるカメラメーカーに倣い,青系の彩度・輝度を落とすようにしている.RAWの現像では,このあたりはメーカーによってはカメラプロファイルで暗黙のうちに適用されているが,CGIではそういうことがないので,自ら設定する必要がある.

なお Lightroom の HSL スライダは Photoshop のものよりかなり効きが良く,また知覚的により適切な反応をするので,気軽に使ってよい.

カラーグレーディングの例

シャープな白黒写真.

白黒にし,ハイライトを下げるとともに,明瞭度を上げている.

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フィルムライクな見た目.

明暗別色補正で色転びを表現し,赤系の彩度を下げる.さらに,トーンカーブ(ポイントカーブ)でハイライトを90%程度にクランプしている.

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*1:随時追記するかもしれない

*2:本稿ではレンダリングに CINEMA 4D のフィジカルレンダラを用いた.このシーンでは,QMC+QMCに最も近い見た目が得られ,GIのムラが少なかったのがQMC+LCであったので,これを採用した

FIXPENCIL の最近の廃番・マイナーチェンジについて

概要

都内だと,管見のかぎりでは伊東屋くらいにしか店頭在庫のなかった*1超マイナー芯ホルダーこと Caran D'ache の FIXPENCIL だが,軸径の変更など,大幅な変更があったようなので記しておく.

FIXPENCILとは

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Caran D'ache 社のWebサイトによれば, FIXPENCIL の歴史は1929年にさかのぼる.以来,デザインは変遷を経ているものの,六角形の金属軸をもつクラッチ式芯ホルダーという基本形式は変わらないまま今日まで生産が続けられている.銀座にある Caran D'ache のブティックの2階には,古い型の FIXPENCIL が展示されている.

1本あたり2000円強とやや割高ではあるが,キャップを除く全ての部品が金属製でありながら,軽さ・剛性感を両立した設計である.そのデザインの完成度を称え, SWISS POST により切手の図柄に採用されたこともある.

なお,大変どうでもよいことだが,青いキャップのものがスイス出身の建築家 Peter Zumthor のアトリエを撮影した写真に写り込んでいる*2

注意

筆者は日本の正規ルートで売られている製品しか買ったことがないので,ここで書いているマイナーチェンジが海外では先行していた可能性も否定できない.詳しい方がおられたらぜひ情報をお寄せいただきたい.

廃番品

FIXPENCIL 77

標準の FIXPENCIL 22 や FIXPENCIL 3 よりも 21 mm ほど長い製品.クリップを外したものを数本用意して硬度ごとに使い分けていたのだが,最早入手がかなわなくなってしまった.息の長い製品であっただけに,寂しいことである.

海外のWebショップには一部まだ在庫が残っているようなので取寄せることもできるのだが,後述のように最近の製品では軸径の変更が行われているようなので躊躇している.

マイナーチェンジ

FIXPENCIL 3, FIXPENCIL 22

軸径の変更・見分け方

店頭には軸径の0.5mmほど*3太いもの(写真奥)が並んでいることがある.同社849同様に,クリップの付け根に孔があるものであれば新型であろうと思われる.

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軸先端の滑り止め塗装

軸先端に滑り止め塗装を施したものを扱うようになった.もっともこれは,以前から海外では普通に売られていた種類のものでもある.

備考

1. クリップの形状について

銀座にある Caran D'ache ブティック店員の方によれば,最近 Caran D'ache 社のオフィスライン・エクリドールはクリップの形状を変更しているとのことであった.上記写真奥にある,やや隆起の大きいものが新型である.

2. FIXPENCIL 100周年記念エディションについて

FIXPENCIL 100周年記念エディションでは,旧型の素体をアルミボディの梨地仕上げにして用いている.

結論

(壊れやすいものではないが)旧型を買いだめするなら今のうちだし,いままで使ったことがなくてこれから買ってみようと思うなら,銀座へ行って Caran D'ache のブティックで新型を買うほうがよいように思われる.なお,Caran D'ache のブティックは伊東屋系列なので,メルシーカードが使える.

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*1:以前はお茶の水のレモン画翠にも店頭在庫が若干あった.また,いくつかの画材店では取寄せてくれるところもある

*2:Durisch, T. (2015). Peter Zumthor: Buildings and projects (Vol. 3, p. 45). Scheidegger & Spiess.

*3:ノギスを用いて正確に計測したわけではない

オリンピックエンブレムに関するツイナビの記事を批判する

概要

本稿では,ツイナビが執筆・掲載した記事「デザイナーの『ごまかし』 本当に「五輪とリエージュのロゴは似てない」か?」の問題点について,ベルギーの劇場「Théâtre de Liège」のロゴ作者である Studio Debie が掲載している資料を中心に考察を行う.

筆者が考える当該記事の問題点は,以下の2点である.

  1. ツイナビの記事では,Théâtre de Liège のロゴがステンシル系の書体に由来するように見えるのは,単に装飾的理由によるものとしている.しかし,Studio Debie のWebページに掲載されている資料によれば,深津氏の指摘のとおり「ステンシル書体の作法」に従ったものである(文字を切り抜いた際の強度が考慮されている)と考えるほうが合理的である.
  2. 深津氏のいう「ステンシル系の書体」という概念を,Stencilという特定のフォント固有の欠点に置き換えて論じている.

以下,各問題点について個別に詳細を示す.

1. Théâtre de Liège のロゴとステンシル風セリフ体の関係

本節で問題とする記述

まず,ツイナビの当該記事における記述を以下引用する.

ステンシル書体には、記事の例の他にも五輪ロゴがモチーフにしたと言われているローマン体をステンシル・テンプレート用にデザインした物が多くあります。

(引用画像略)

上もその一例ですが、この「T」には記事が指摘するような「分割(縦線の脇のすき間)」はありません。なぜなら「T」には「完全に閉じた部分」がないので必ずしも隙間を作る必要がないからです。
Tに隙間を作るのは(テンプレートの丈夫さを高める、という実用的な理由がなければ)一般的なデザインにおける、装飾的意図によるものです。

http://twinavi.jp/topics/news/55ed5ffc-0a30-4ffc-a057-3b8eac133a21

Thêátre de Liège のロゴにおけるエレメント間の隙間は「装飾的意図による」ものであって,深津氏のいう「ステンシル書体の作法」ではない,とする指摘である.

しかるに,Studio Debie(ロゴの作者)のWebページに掲載されている展開例によれば,このTの隙間は装飾的意図のみによるものではなく,あきらかに機能的要請にしたがった結果であるとするのが妥当であると考えられる.

切り抜きに対する機能的要請

この2枚の画像はStudio Debie の Web ページから引用したものである.フランス語なので,筆者による仮訳を付した.

レーザーで切り抜かれたピクトグラム

管理書類,宣伝材料,高級な紙*1では,T/Lによって構成されたピクトグラムを点線に沿ってレーザーカットすることが可能である.

(筆者による仮訳.原文は当該Web ページの画像

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さて,ここでもう一度ツイナビの記述に戻ってみよう(強調筆者).

なぜなら「T」には「完全に閉じた部分」がないので必ずしも隙間を作る必要がないからです。

Tに隙間を作るのは(テンプレートの丈夫さを高める、という実用的な理由がなければ)一般的なデザインにおける、装飾的意図によるものです。

http://twinavi.jp/topics/news/55ed5ffc-0a30-4ffc-a057-3b8eac133a21

たしかに,ステンシル技法に用いるテンプレートを作るだけならば,Tの隙間は必要のないものである.しかし,しばしば他の書類と擦れるなど,乱暴な扱いをされがちな管理書類,宣伝材料,名刺となると話は別である.

横エレメントを含めて切り抜く(Tの隙間を埋める)と,突出した部分が鞄の中で折れてしまう(図右).デザインの過程ではこれを嫌ってTの隙間を埋めなかった(図左)というのは妥当な推論であろう.

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この節の結論

ツイナビの記事における記述は,ロゴ作者のWebページにおける記述と矛盾している.

2. 「ステンシル系の書体」と Stencil の関係について

本節で問題とする記述

例によって,ツイナビの当該記事における記述を以下引用する(強調筆者).

記事にある「リエージュロゴの想定されるプロセス」という説明図版(下)は、こうしたデザインにおける論理や手法を隠して、あたかも「パソコン用のステンシル書体リエージュロゴの出発点にある」と読者を錯覚させるための、意図的な誘導に思われます。
(引用図版略)
最終的にモダンな造形をイメージしているデザイナーが、図で使用されているような無粋なフォントを用いようとまさか考えないだろうことは、デザイナーが一番よく知っているはずです。

http://twinavi.jp/topics/news/55ed5ffc-0a30-4ffc-a057-3b8eac133a21

ここでいう「パソコン用のステンシル書体」は,「図で使用されているような無粋なフォント」(Stencilフォント(固有名詞))に相当すると解釈できる.

これは,前半では「錯覚」「意図的な誘導」という語を用いて「パソコン用のステンシル書体」を否定し,後半では「図で使用されているような無粋なフォント」というフレーズにより,Stencilフォントを否定的ニュアンスで指し示していることによる.

「ステンシル書体」という曖昧な語法

さて,ツイナビの当該記事では,「ステンシル書体」の例として,Stencilフォントともに,既存のフォントをステンシル・テンプレート化したものを示している.

ステンシル書体には、記事の例の他にも五輪ロゴがモチーフにしたと言われているローマン体をステンシル・テンプレート用にデザインした物が多くあります。

http://twinavi.jp/topics/news/55ed5ffc-0a30-4ffc-a057-3b8eac133a21

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さて,本稿では,これだけでは不十分で読者の誤解を招く可能性があると感じたため,事例をひとつ追加することにした. Linotype から発売されている Iwan Stencil という書体である.

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いかがだろうか.深津氏の図中のフォントをこの Iwan Stencil で置き換えた場合,ツイナビの記事にある「図で使用されているような無粋なフォントを用いようとまさか考えないだろうことは、デザイナーが一番よく知っているはずです」という記述は,もはや説得力を失うといってよい.

この節の結論

ツイナビの当該記事において,ステンシル書体という語の用法が混乱している.深津氏が例示として用いただけの書体がいつのまにか「無粋なフォント」として,デザイナがそのフォントを用いたとは考えられない,という批判がなされた.

しかし,これは例示に用いる書体を入れ替えれば解決する問題であり,しかも引用されている図を作ったのはロゴの作者でなくて深津氏なのだから,この批判は失当である.

結論

以上示したように,ツイナビの当該記事における論理展開には,大きな問題があると考えられる.したがって,この記事の内容をもって深津氏はじめデザイナーを『ごまかし』の主体として批判することは失当である.

付記

当該記事後半部分でも触れられている扇や桜のエンブレムについては,稿を改めて論ずることにする.

だいぶ今更感があるので,主張の要点(価値判断を含む)を付記しておく.桜は春のものであって,それを盛夏のオリンピックに用いることは季節外れもはなはだしい.

扇については,季節感という点において桜よりはかなりましだと考えている.しかし,「古くから応援するときの道具として使われてきた」ものをエンブレムにするということは,エンブレムの表すものが「オリンピックを応援するわれわれ」であるということであり,選手はどこへいってしまったのだろうか?

*1:名刺やレターヘッドの類を指す